教育内容・コース紹介

大学院では、統計学や社会学、他の領域など数多くの講義を自由に選択することができます。このページでは、ニューロサイエンス看護学に関する必修科目についてご紹介いたします。
なお、看護学研究科全体の講義概要やシラバスに関しましては、本大学のホームページに詳細が記載されています。ぜひそちらもご参照ください。

【博士前期課程】

修士論文コース

研究手法を学びながら、脳神経分野の世界的に共通した研究テーマ探求を行い、現象の明確化と看護技術のエビデンス確立に努めます。

  • 入学条件:3年以上の臨床経験

上級実践コース

日本初の脳神経系看護の上級実践看護師を育成するコース
脳血管障害患者、頭部外傷患者、パーキンソン病などの神経疾患患者を対象に高度な実践の追求を実習と講義を交えながら学びます。
さらに、「海外研修」を組み入れ、海外のニューロサイエンス看護の現場の視察や同分野のスペシャリストとの意見交流を通じ、学びを深めます。

脳卒中リハビリテーション看護認定看護師や摂食嚥下障害看護認定看護師などが入学をして、よりアドバンスな看護を学んでいます。

  • 入学条件:5年以上の臨床経験
2017年より学士号を取得していない看護師でも、受験資格審査に合格すれば受験ができます。受験を希望される方は、必ず出願前に指導教員である大久保までご連絡の上、受験前相談をお願いいたします。
2019年度より、本学大学院ニューロサイエンス看護学 上級実践コースは、日本看護系大学協議会「慢性看護」の教育課程に認定されており、日本看護協会 専門看護師「慢性疾患看護」のサブスペシャリティ「ニューロサイエンス看護」で受験が可能です。

【博士後期課程】

研究者(博士論文)コース

⾼度看護実践者として⾃⽴した研究活動や、組織・保険医療システムの変⾰に求められる豊かな学識を養います。ニューロサイエンス看護の新たな可能性や専門性を追求するコースとなります。
現在2019年度、1名の博士課程の博士論文コースの院生が在籍しています。

  • 入学条件:3年以上の臨床経験かつ修士課程修了

DNPコース

上級実践看護師として、さらに看護理論・研究方法を追求するコース
ニューロサイエンス上級実践看護師への高度教育や、臨床現場での更なる専門性を発揮できる看護師を目指します。

  • 入学条件:5年以上の臨床経験かつ上級実践看護師の資格
博士後期課程の入学条件に関しましては、あくまで入学の想定している一例となります。個別のキャリアに沿い対応させていただきます。担当教員にお気軽にご相談ください。

ニューロサイエンス看護学に関する必修科目

前期博士課程

修士論文コースと上級実践コースがあります。どちらのコースも必修科目の基礎分野は共通しています。
必修科目の基礎分野というのは、具体的には

  • ニューロサイエンス看護学の特論Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ
  • ニューロサイエンス看護学演習Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ

がこれらに当たります。看護の大学院においては、人間の健康を量的な側面であるEBMと、同時に質の視点から対象に介入できる力がより求められます。本研究室では、両者の知識と技術をバランスよく学ぶことができるようにカリキュラムを整えています。

修士論文コース、上級実践コース(共通科目)

ニューロサイエンス看護学特論Ⅰ (1年前期 2単位)

ニューロサイエンス看護学の質に関する、最も基礎に当たる内容になります。脳神経疾患を含む慢性疾患を持つ当事者らの体験を書物などから読み解き、脳神経疾患とは何かを見つめなおしていきます。講義は院生が資料をまとめ、プレゼンテーションとディスカッションを互いに行い深めていきます。

ニューロサイエンス看護学特論Ⅱ (1年後期 2単位)

この特論Ⅱでは、脳神経疾患看護の医療現場における倫理について深く掘り下げていきます。脳神経疾患の患者と家族に対しては、人権や尊厳を考えさせられる慎重で深い問題に日々直面しているのが現状です。専門書や他の教材を用いて、プレゼンテーションとディスカッションを通して理解を深めます。

ニューロサイエンス看護学特論Ⅲ (1年前期 2単位)

ニューロサイエンス看護学の量的な分野を学ぶ科目になります。脳神経に関する解剖学、最新の治療方法、最前線のリハビリテーション戦略など、日本や世界を代表する各々の専門家を特別講師に招いて講義を受けます。ニューロサイエンス看護学の中で最も外部の有識者の方々と交流できる機会が多い科目になります。

ニューロサイエンス看護学特論Ⅳ (1年前期 2単位)

前期博士課程の講義である応用形態機能学の講義と一部合同で行われる科目です。合同で学ぶ内容は、主に形態機能学の講義と順天堂大学にて行われる解剖実習になります。身体の仕組みをより深く学ぶことができ、実際の身体を確認しながら知識を統合することを目的にしています。本研究室の院生は、脳神経の解剖整理を集中して取り組むことができます。また、合同以外においては、脳神経疾患に関する評価ツールや症状アセスメント方法について学習していきます。

ニューロサイエンス看護学特論Ⅴ (2年前期 2単位)

この特論Ⅴでは、脳神経疾患の患者と家族が自宅療養もしくは介護で必要になる医療・福祉制度を学びます。また、地域社会で対象者がそれぞれよりよいQOLを実現するための取り組みや活動を学習し、プレゼンテーションとディスカッションを行います。

ニューロサイエンス看護学演習Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ (1年前期~後期 6単位)

これまでの特論の講義スタイルとは異なり、院生一人ひとりが自らの取り組みたいテーマを主体的に決めることができ、その目的達成のために演習を行い成果をまとめます。具体的には、例えばあるケアのエビデンスについて明らかにしたいために文献検討を行い現状を理解する、演習計画書を用いて医療施設に同意を得て調査する、ある脳神経看護ケアの効果を調べるために医療施設に出向き測定する、など自身の研究テーマを探求する準備を行います。担当教員の指導の下、演習期間や場所も自分で自由に設定できる科目になります。

上級実践コース

ニューロサイエンス看護学実習 (1年後期~2年次 10単位)

上級実践コースは、上記の特論と演習に加えて実習を行います。専門看護師として求められるスキルを習得し実践できるように、臨床現場に参加してそれぞれのテーマに沿って取り組みます。専門看護師の試験対策にとどまらず、現場で真の力を発揮しチームや組織を変革に携わる質の高い専門家を養成することを目的に、数多くの実習とディスカッションを重ねていきます。こちらの実習場所や期間についても、自らの課題に沿い選択が可能です。

後期博士課程

後期博士課程の院生は、自身の創造的な課題研究に取り組み、看護実践や教育のよりよりあり方を探求します。
ニューロサイエンス看護学に関する科目は、ニューロサイエンス看護学特論・演習が後期博士課程の院生に対して開講されています。脳神経疾患に関する研究に対して、担当教員が適切な指導の下サポートします。

全てのニューロサイエンス看護学に関する講義は、院生の希望に合わせて柔軟に調整が可能です。産休や育休に入りながら、また家庭の都合を考慮しながら、あるいは勤務しながら勉学と両立している院生が在学しています。ライフスタイルに適した学習環境を整えることを大切にしている研究室ですので、お気軽に必要な場合は担当教員にご相談していただければ幸いです。

看護学研究科より

2016 年、日本で初めての「ニューロサイエンス看護学」が本学で開講されました。その開講までを支援していただいたアメリカのBarrow NeurologicalInstitute で、本学院生が毎年3 週間の実習を行っています。昨年度の参加者である武田希帆子さんがその貴重な体験について書いてくださいました。

武田 希帆子さん
2008 年に本学学部卒業後、聖路加国際病院で勤務し、脳神経疾患をもつ方と関わる経験から、2017年本学大学院のニューロサイエンス看護学修士課程上級実践コースへ進学。「育児も仕事も楽しむことを大切にしています!」

米国での3週間にわたるニューロサイエンス看護学演習と、そこで学んだこと。

育児中の私が米国へ、しかも世界的に有名なBNI(Barrow Neurological Institute) で、憧れのAPN(Advance Practice Nurse ※)たちから直接学べるなんて夢のような3 週間でした。BNI ではAPN の実践場面に同席し、彼女たちが院内の看護師はもちろん、医師など多職種にとっても身近で頼りにされている存在であることを実感し、演習中に参加した学会では、各州でニューロサイエンスに携わるAPNたちと交流し、既に米国ではニューロサイエンスのAPN が住民の病と健康にとってなくてはならない存在であることを知りました。日々の演習の後には先生・同期と学んだことの共有とリフレクションを行い、休日には近場の観光でリフレッシュしたりと、とても楽しい充実した3 週間でした。

この演習を通して、ニューロサイエンス看護とは何か、そのAPN の役割とは、という問いへの示唆を得ました。ニューロサイエンス看護は、中枢神経障害のために、身体の症状だけでなく、意識、高次脳機能、精神症状などを患い、それらを生涯伴っていくために、一人で生活を続けていくことが困難になる対象者によって特徴づけられます。私の役割は中枢神経障害を負う本人とその家族の双方にとっての最善のQOL を実現するための看護を探求し、現場のスタンダードとして普及させていくことであると理解し、奮闘中の日々です。

APN(Advance Practice Nurse)…高度実践看護師。高い専門性と優れた看護実践能力を持ち、質の高い看護ケアを提供する看護職者のこと。高度実践看護師には、専門看護師(CNS:Certifi ed Nurse Specialist)とナースプラクティショナー(NP:Nurse Practitioner)の2 種類があります。

聖路加の日本初!ニューロサイエンス看護学の開講

現在、ニューロサイエンス看護学では博士課程に2 名、修士課程に8 名の大学院生が在籍しています。欧米ではDecade of Brainと言われた1990 年代からNeuroscience Nursing のクリニカルナーススペシャリスト、ナースプラクティショナーが自律的な看護活動を行い、患者のQOL 向上や医療費削減に貢献していましたが、日本ではそのようなナースが不在でした。また脳神経は不可逆性と言われていましたが、近年、再生することが明らかになり医学・看護・理学領域の医療方略も変わりつつあります。このような背景を受けて本学では2016 年、日本初の「ニューロサイエンス看護学」を開講致しました。脳神経系の看護は、罹患後できるだけ合併症を防止し残存機能を活かして生活を再構築する支援が主でしたが、本領域では神経可塑性の研究結果を活かしながら麻痺手や脳機能にも効果的な看護技術の開発と介入を行うこと、脳などの中枢神経障害による重症意識障害・高次脳機能障害患者への倫理的看護、市民への脳卒中予防や発症時の対応教育を行い、患者と家族の最善のQOL 実現とその研究的成果を目指しています。これらは脳神経医療と研究で世界的に有名なBarrow Neurological Institute(USA)にも資金と指導の協力を得て、大学院生の演習(ニューロサイエンス看護学演習Ⅲ)を渡航費・実習費を先方が出すという形で3 週間受け入れてもらっています。昨年、脳卒中・循環器病対策基本法が我が国で成立したことも追い風となって益々、研究と活動の範囲は広まっています。

(ニューロサイエンス看護学 准教授 大久保暢子)

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