はじめに
背面開放座位に関する研究論文や講演・セミナーの開催は、近年数多く認められ、診療報酬化への挑戦も始まりました。少しずつ全国の医療現場で背面開放座位が導入され、臨床看護師から背面開放座位の原理や手順に対する問い合わせも多く頂くようになりました。川嶋みどり先生、菱沼典子先生の温かいご支援を受けて背面開放座位の研究は発展し、今では医師や理学療法士なども含めて研究や検討に進む段階にきています。
「背面開放座位ってなに?(背面開放座位Q&A)」では、最新の研究論文を含め、出来るだけ根拠を明確にすることを心掛けました。臨床看護師・他医療関係者の皆様が、ベッドサイドで背面開放座位を提供する際の有効な情報になれば幸いです。
冊子中の引用文献は、情報の出所を明確にするために記載しました。Question毎の文章に引用を記し、アルファベッド順で、同著者の場合は掲載年の新しい順に記載しました。背面開放座位の対象者の呼称については、「患者」という言葉に統一しました。分かりやすい言葉で記すよう努力しましたが、至らぬ点もあると思います。不明な点や疑問点などある場合は、ご助言頂ければ幸いです。
目次
【知識編】
【実践編】
- Q4 どんな方法で行うの?
- Q5 いつ何回やればいいの?
- Q6 一人で座れない人はどうするの?
- Q7 座る時の注意点ってなに?
- Q8 保持具のいい所ってなに?
- Q9 すぐに効果はあらわれるの?
- Q10 背面開放座位ケアプログラムってなに?
引用文献
- 安部恭子,大久保暢子,上野弘恵(2014):ICUにおける人工呼吸器管理患者へ実施する背面開放座位の安全性に関する検討,日本看護技術学会第13回学術集会講演抄録集,p.96
- 安藤真由美(1998):四肢骨折の看護ケース・スタディ 高齢者編痴呆を伴う大腿骨頸部骨折患者 背面開放端座位の保持に向けての援助,整形外科看護,3秋季増刊,1287-1295
- 林裕子(2011):生活行動再学習を促す看護技術, Brain Nursing,27(9), 41-48
- 一般社団法人日本作業療法士協会(2014):リハ専門職による医療と介護の連携に向けた福祉用具の導入・運用に関する実証研究事業,平成 26 年 3 月
- 亀田メディカルセンターリハビリテーション科リハビリテーション室編(2013):リハビリテーションリスク管理ハンドブック改訂第2版,メジカルビュー社,19-24
- 紙屋克子,林裕子(1992):意識障害患者の看護第1報,日本看護研究学会雑誌,15(4),45-46
- 川嶋みどり(2012):第4章 看護の可能性,134-141,看護の力,岩波書店,東京
- 川島みどり,平松則子,大吉三千代(1993):寝たきり状態の高齢者に対するベッド上背面開放端座位の効果‐精神・身体・生活行動面の変化とQOLの向上を目指して‐,財団法人 大同生命厚生事業団 第2回老人在宅福祉研究助成報告集
- 川島みどりほか(1991):背面開放ベッド上端座位による痴呆症状の改善をめざす研究,第2回研究助成・事業助成報告書(財団法人フランスベッド・メディカルホームケア研究・助成 財団) ,298-320
- 見藤隆子,小玉香津子,菱沼典子 総編集(2011):看護学事典 第2版,日本看護協会出版会,東京,p.788
- 菊本由美子,夫津木弘子,永田啓子(1994):急性軸索型ギランバレー症候群患者に背面開放端座位を実施しての効果,佐世保市立総合病院紀要,20,123-126
- 岸部友美,秋広由美子,植田愛子ほか(2011):遷延性意識障害患者に対する背面開放座位の表面筋電図による効果解析~第2報~,第20回意識障害学会抄録集, p93
- 小林由紀恵,矢野聡子,古賀道代(2015):急性期脳出血患者の安全・安楽な背面開放座位プロトコール作成と有効性の検討,日本ニューロサイエンス看護学会誌,3(1),23-31
- 丸善出版株式会社(2016):DVD「見て知るリハビリテーション看護」第7巻 大久保暢子監修 脳卒中急性期のリハビリテーション看護
- 三橋俊雄,大洞健史,園尾義之(1997):高齢者の寝たきり予防のための背面開放型ベッド上端座位保持具, 高齢者の自立を促進する日常生活用具の開発,デザイン学研究,研究発表大会概要集,(44), p80
- 日本看護科学学会 第6,7期看護学学術用語検討委員会編:看護行為分類,日本看護協会出版会,東京,2005
- Nobuko Okubo(2001): Improvement in level of consciousness after sitting without back support: Case study of a patient in a persisitent vegetative state using Kohnan score and EEG, The Society for Treatment of Coma,10,83-94
- 大久保暢子,安部恭子,上野弘恵ほか(2014):廃用症候群を併発しやすい急性期患者に対する背面開放座位の効果 呼吸機能の観点から,日本看護技術学会学術集会講演抄録集13回,p.99
- 大久保暢子(2013):第4部第1章意識レベルを高める背面開放座位,170-179, 川島みどり,菱沼典子編,看護技術の科学と検証第2版,日本看護協会出版会,東京
- Okubo N (2012):Effectiveness of the “Elevated Position” Nursing Care Program in promoting the reconditioning of patients with acute cerebrovascular disease, Japan Journal of Nursing Science, 9(1), 76-87
- Okubo N (2011):Sitting without back support position for prolonged consciousness disturbance patients : an intervention program case study, Journal of Neuroscience Nursing,43(3), 13-27
- 大久保暢子,品地智子,飯野智恵子ほか(2010):急性期脳血管障害患者の“からだを起こす”看護ケアプログラムの構築,日本看護技術学会誌,9(1),69-82
- 大久保暢子(2009 a):【脳卒中看護から学ぶ“起きる”看護ケアプログラム】研究成果から見た“起きる”効果,ナーシング・トゥデイ,24(11),27-29.24)
- 大久保暢子(2009 b) :【脳卒中看護から学ぶ“起きる”看護ケアプログラム】“起きる”看護ケアプログラム内の看護技術, ナーシング・トゥデイ,24(11),p44
- 大久保暢子,野島厚子,林輝子ほか(2008):慢性期意識障害患者の背面開放座位に関する適応基準の分析,聖路加看護大学紀要,34,46-54
- 大久保暢子,平松則子(2007):第3章 身体を起こす,菱沼典子,小松浩子監修,Evidence-Based Nursing 看護実践の根拠を問う改訂第2版,31-48,南江堂,東京
- Okubo N and Hishinuma M(2005 a):Effect of aided and unaided support of the neck while sitting(with back support),on autonomic nervous system activities, Japan Journal of Nursing Science,2(1), 33-39
- 大久保暢子,平松則子,能條多恵子ほか(2005 b): 看護用具・看護技術デモンストレーション 背面開放座位(座ろうくん®),日本看護技術学会誌,4(1),37-39
- 大久保暢子,菱沼典子(2003):遷延性意識障害患者の意識レベル改善を目的とした背面開放座位の効果 広南スコアの視点,日本看護科学学会学術集会講演集,23,325
- 大久保暢子, 向後裕子, 水沢亮子ほか(2002):座位による背面開放が自律神経活動に及ぼす影響,日本看護学会誌,11(1),40-46
- 大久保暢子,雨宮聡子,菱沼典子(2001):背面開放座位端座位ケアに導入より意識レベルが改善した事例 遷延性意識障害患者1事例の入院中から在宅での経過を追って,聖路加看護学会,5(1),58-63
- 大久保暢子, 菱沼典子(1998):背面開放座位が自律神経に及ぼす影響,臨床看護研究の進歩,10,53-59
- パラマウントベッド.端座位保持テーブル「Sittan」KF-890 https://www.paramount.co.jp/catalog/download/2548[閲覧日:2016/02/25]
- 龍良子,川島みどり,牟田能子(1992):背面開放端座位の効果について,日本看護科学学会誌,12(3) ,44-45
- 竹本修代(2013): 背面開放座位 さまざまに進化した保持具とその適応患者について 「座ろうくん」を使った背面開放座位とその適応患者について,日本看護技術学会誌,12(1),p42
- 豊田章宏(2016): 【「どう動く?どう支える?」が見てわかる!すぐに実
践できる!ナースのための急性期病棟場面別ADL介助(2)座位~移乗・移動まで】 座位~移乗・移動へのADL拡大は、どのように、何に気をつけて進めていくの? , Brain Nursing, 32(2),112-116 - 植田愛子, 石塚京子, 内山成恵ほか(2009):遷延性意識障害患者に対する背面開放座位の効果~表面筋電図の解析~,第18回日本意識障害学会抄録集,p74
執筆者一覧
- はじめに、Q1、Q5:大久保暢子(聖路加国際大学大学院看護学研究科)
- Q2、Q9:軽部奈弥子(聖路加国際大学大学院修士課程)
- Q3:佐竹澄子(東京慈恵会医科大学医学部看護学科)
- Q4、Q10:佐々木杏子(神奈川県立保健福祉大学看護学科)
- Q6:小林由実(神奈川県立保健福祉大学看護学科)
- Q7:酒井宏美(聖路加国際病院)
- Q8:窪田静(愛媛県立医療技術大学看護学科)
- 冊子校正:小林由紀恵(聖路加国際大学大久保研究室)
「背面開放座位ってなに?(背面開放座位Q&A)」は、日本看護技術学会・技術研究成果検討委員会・ポジショニング班で検討を行い、成果物として発行した。