Q3 どんな人に実施するの?

知識編 更新日:2019年2月27日 掲載日:2019年2月27日

Answer(要約)

意識レベルが低下している方や自分で起き上がることができずに寝たきりになる可能性のある方が対象となります。これはQ2で示したように背面開放座位の効果が、意識レベルの改善や寝たきりによる合併症の予防にあるからです。

詳細解説

背面開放座位は、寝たきりになりやすい高齢者や重度意識障害患者、認知症患者に多く利用されています(大久保2013)。その効果検証の多くは、慢性期にある患者を対象に行われてきました(Okubo 2011)。しかし、慢性期の患者は寝たきり期間が長くなるほど関節の拘縮や筋力低下などが生じ、体を起こそうとするときには、まず体を起こすための身体づくりが必要となる状況が生じていました。

そこで、入院・手術直後から慢性期を見越して、離床もしくは背面開放座位にしていくためのプログラム(大久保ほか2010)の開発がなされました。このプログラムを踏まえ、急性期の患者に安全に実施する方法も検討されています(小林ほか 2015)。

さらに、ICU(集中治療室)で治療を受けている超急性期の患者にも背面開放座位は適応できます。ICUで治療を受ける患者は重症疾患であり、侵襲の大きい状況におかれています。治療が最優先となりますが、原疾患が回復傾向となった時に廃用症候群や人工呼吸器の離脱困難となる場合が多い現状があります。このような患者は、循環動態が変化しやすいことや多くのラインにつながれていることなどから、実施していく上での安全性の検討が必要であり研究されています(安部ほか2014,大久保ほか2014)。これらの研究結果では、呼吸機能の改善や自力での座位保持が可能となる事例もあったことから、超急性期の患者への実施も有効と言えます。ただ、安全に実施していくためには、看護師による施行中の的確なアセスメント、判断が重要であり、適切な判断基準と方法を確認した上で、実施することが大切です。

目次

はじめに

【知識編】

【実践編】

引用文献

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