実践編 | 更新日:2019年2月27日 掲載日:2019年2月27日 |
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Answer(要約)
一人で座り続けることが難しい患者には、保持具を使いましょう。
詳細解説
保持具は、患者の背を圧迫せずに、患者の両側面から左右と後方を支え、かつ、患者の前方はテーブルで支える形になっています(三橋ほか1997)。
現在では、様々な保持具があり、おきたろう®(福光鉄工)と、Sittan®(パラマウントベッド)、座ろうくん®があります(大久保ほか2013)。保持具の利点については「Q8 保持具のいい所ってなに?」を参照してください。
保持具の使い方について
本解説では、保持具例として、パラマウントベッドから発売されているSittanによる背面開放座位を説明します。
- 背面開放座位を取る前に、患者の状態について、アセスメントをします。(「Q7 座る時の注意点ってなに?」参照)
- 患者を座らせる前に、保持具のテーブルの高さを合わせます。テーブルの高さは、患者が背面開放座位を取った時に、約90°に曲げた肘の高さを目安にしてください。
- 患者を支えて端座位にします。
- 患者の足底がしっかりと床につき、膝関節の角度も90°になるように姿勢を整えます。足がつかない場合は、ベッドの高さを調整したり、足台を入れたりしましょう。
- 患者を支えながら、患者の前にテーブルを設置します。この時、患者の腹部とテーブルの間に、適度な隙間を開けてください。隙間がないと患者の腹部が圧迫され、逆に隙間が広過ぎると患者が前にずり落ちて怪我をする恐れがあります。患者の肘・上腕をテーブルに置いてください。
- 背面ユニットを患者の背部に回し、テーブルの反対側へ固定します。奥行きを使用者の体格に合わせて調整します。
- 患者の上体が前傾する場合には、サポートベルトを付けます。
- 保持具を使用している最中も、患者のそばを離れないでください。保持具を使用していても、患者の姿勢が崩れることはあるため、随時、姿勢を直してください。また、体調の変化のアセスメントも続けましょう。
なお、製品によって、細かな使い方は異なるため、実際の使用に際しては、取扱説明書をよく読んでください。
背面開放座位が取りにくかった患者が保持具で座れるようになった例が報告されています。
竹本(2013)は、交通外傷後、緊張が強く顔が常に左を向き体幹に歪みがある患者に対し、保持具を使用したところ、臀部や膝の位置に注意して座位姿勢を整えることができたという報告があります。
目次
【知識編】
【実践編】
- Q4 どんな方法で行うの?
- Q5 いつ何回やればいいの?
- Q6 一人で座れない人はどうするの?
- Q7 座る時の注意点ってなに?
- Q8 保持具のいい所ってなに?
- Q9 すぐに効果はあらわれるの?
- Q10 背面開放座位ケアプログラムってなに?