実践編 | 更新日:2019年2月27日 掲載日:2019年2月27日 |
---|
Answer(要約)
急性期脳卒中患者を対象として、できるだけ早期にベッド上ヘッドアップ、背面開放座位、立位へと段階的にからだを起こし、歩行までの早期離床のプロセスを支援する看護援助プログラムです(大久保ほか2010)。
「“起きる”看護ケアプログラム」とも呼ばれます。このプログラムを発症後早期から実施することで、残存機能を低下させず、順調なリハビリテーションと日常生活動作の再獲得を支援することができます。
詳細解説
慢性期を見据えたからだづくりのケアのためのプログラムです
プログラムは、脳血管障害の発症後早期の患者に対して実施されます。「からだづくりのケア」「からだを起こしていくケア」の2本柱で構成されています。
-
からだづくりのケアとは?
からだを起こせる状態にする、起こせるからだを維持するケアを指します。からだを起こせない患者に対しても実施でき、日常行っている看護ケアに取り入れられる内容です。
具体的には以下の3種類の看護技術から成り立っています。
- 体位変換時に仰臥位にして脊柱をまっすぐにした後、次の体位にしていく姿勢を正すケア
- 全身清拭やおむつ交換時に関節可動域訓練を取り入れるケア
- 正しい良肢位にするケア
-
からだを起こしていくケアとは?
ヘッドアップ30度→45度→60度→最大角→背もたれのある座位→背面開放座位→立位→歩行とステップアップしていく際に、看護師が身体状況の項目(意識レベルやバイタルサインなど)を判断しながら進めていきます。ステップアップの方法はフローチャート形式で示され、各項目を判断しながらフローチャートに従ってケアを進めていきます。
発症後の日数ではなく、項目を判断しながら身体状態でステップアップしていくことが重要です。
これらの情報はポケットに入れて持ち運べるようにポケットサイズの小冊子にまとめられています。
どのような効果があるの?リスクはないの?
集中治療室(ICU)にいる急性期脳血管疾患患者40名に対しプログラムを導入した結果、対照群と比較して、意識レベルに変化はなかったものの、背面開放座位が取れるまでの日数が短くなったこと、車椅子でICUを退室できる患者数が増えたこと、日常生活動作の獲得率が高くなったことなどが示されています(Okubo 2012)。また、導入群と対照群で死亡率や病態悪化率に変化はなく、導入による身体的リスクはないといえます。
プログラムに興味があるけど、どうすればいいの?
リスクをできるだけ最小限にするためには、プログラムを正しく習得する必要があります。関心のある方は研究グループまでご連絡ください。
目次
【知識編】
【実践編】
- Q4 どんな方法で行うの?
- Q5 いつ何回やればいいの?
- Q6 一人で座れない人はどうするの?
- Q7 座る時の注意点ってなに?
- Q8 保持具のいい所ってなに?
- Q9 すぐに効果はあらわれるの?
- Q10 背面開放座位ケアプログラムってなに?