Q10 すぐに効果はあらわれるの?

実践編 更新日:2024年10月17日 掲載日:2019年2月27日

Answer(要約)

遷延性意識障害患者に背面開放座位を1ヶ月以上実施し、その間、経時的に意識レベルと脳波の変化を認めた事例研究があります(Okubo 2001)。
外見上はすぐに効果が現れないこともありますが、脳内では変化が始まっていることを認識し日々実施を重ね、長期的に観察を続けることが大切です。

詳細解説

遷延性意識障害患者に1ヶ月以上背面開放座位を行った事例研究では、毎日、背面開放座位施行前と施行中に脳波と東北療護センター遷延性意識障害度スコア(広南スコア)を測定しました(Okubo 2001, Okubo 2011)。背面開放座位導入後、先に脳波の変化が見られ、その1~2週間後に、広南スコアの改善が認められました。
このことから、脳内の変化の方が早く出始め、そのあとに外見上の反応が出始めることが示唆されます。

慢性期から背面開放座位を実施するのではなく、背面開放座位にしていくための身体づくりから始める、急性期から始める背面開放座位ケアプログラム(‘からだを起こす’もしくは‘起きる’看護ケアプログラム)が開発されています。急性期から背面開放座位を導入していくことで、車椅子離床までの日数の短縮、車椅子でのICU退室者の増加、ICU退室1週間後の日常生活動作の獲得率の上昇などの研究結果が得られています(Okubo 2012, 大久保 2009a)。研究の積み重ねにより、急性期から実施することの効果が明らかになってきています。

目次

はじめに

【知識編】

【実践編】

引用文献

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