Q8 座る時の注意点ってなに?

実践編 更新日:2024年10月17日 掲載日:2019年2月27日

Answer(要約)

座る前と、座る時、座っている間の注意点があります。患者によって、またその日の体調によって注意点は異なりますが、ここでは共通している注意点について説明します。手順に沿って、安全に注意して実施しましょう。

詳細解説

座るための準備を、身体面、環境面ともに整えましょう

  1. 身体面:背面開放座位を安全に行うためには、疾患の病態、合併症、バイタルサインなどを個別に考慮する必要があります。そして、からだを起こすことで循環動態や呼吸状態にリスクがあるかアセスメントし、座っている間も観察をしっかり行っていきます。
  2. 環境面:正しい背面開放座位姿勢がとれるよう、ベッドや足台の高さを調節しましょう。保持具を用いる場合は、テーブルの高さを調節します。「Q4 どんな方法で行うの?」、「Q6 一人で座れない人はどうするの?」を参照。

次のような場合は、実施を慎重に判断しましょう。

背面開放座位をとることで状態変化がおきやすいと予測される場合は(表1参照)、実施するかどうか慎重に判断をすることが必要です。現在、背面開放座位の開始基準、中止基準についてはさまざまな提案がされ、臨床で使用されていますが、その妥当性についての十分な証拠はなく、実際は個別の症例ごとに判断をしていくことが必要だと考えられます。

(表1)引用文献5より引用

・発症早期 ・進行性疾患 ・意識障害
・循環器、呼吸器など内部臓器疾患の既往、合併症
・発熱、疼痛
・自律神経障害
・糖尿病血糖コントロール不良
・薬物変更(抗けいれん剤、降圧剤など)

正しい姿勢がとれたら、介助者の目の届く範囲で実施します。

「Q4 どんな方法で行うの?」を参照し、手順に沿って正しい背面開放座位姿勢がとれるよう、進めていきます。正しい姿勢がとれたら、施行中は常に介助者が近くにいるようにし、身体変化に対応できるようにしましょう。

顔色が悪くなったり、疲労が見られたらやめましょう

座っている間も観察を続け、顔色が悪くなったり、疲労が見られたらやめましょう。もしも予想外の事態が起こった場合は、人手を集め、患者に声をかけながら意識を確認しつつ、臥位(場合によっては下肢挙上)とします。呼吸状態を確認し、嘔気があるようなら顔を横に向け、血圧、脈拍、酸素飽和度を測定しましょう。

座ることが出来たら、次は生活行動の拡大を視野に入れましょう

座位姿勢は、生活行動の基本となる姿勢です。座位時間が延長すると、手浴や足浴、テーブルを利用して食事や作業療法を行うことが可能です。目安として、10分の端座位が保持できれば、立位などADL拡大を進められ、30分の端座位が保持できれば、車椅子でリハビリ室や散歩に行くことが可能と考えられています(豊田2016)。慎重に進めつつ、かつ毎日の生活に背面開放座位を取り入れていくことが大切です。趣味や家族との時間を取り入れながら、その人らしい時間を持つことを目指しましょう。

目次

はじめに

【知識編】

【実践編】

引用文献

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