Q12 座位中に行う効果的なケアってなに?

実践編 更新日:2024年10月17日 掲載日:2019年2月27日

Answer(要約)

背面開放座位実施中に、個別のリハビリテーション目標に沿った環境を提供することで、脳の神経可塑性を促進させる効果が期待できます。患者さんが興味のあるものやご家族との面会など、能動的な活動につながる環境を整えることで、自然に回復を促し、効果的なケアの提供につなげることができます。

  • 脳は障害された後でも、新たな神経回路をつくり出す力、すなわち神経可塑性という機能があると言われています。山本(2012)は、この神経可塑性について「外界の刺激などによって起こる神経の機能的、構造的な変化」と述べています。脳卒中患者さんの場合、患者さんを取り巻く生活環境を調整したり、適切な運動療法を反復して行うことで、神経の可塑的変化が生じやすくなります(Marcelaet al. 2012)。また、可塑的変化はリハビリテーションを終了した後も、その機能は保持され神経系の変化が維持されるとの報告もあります(石田ほか 2013)。
  • Enriched Enviroment(豊かな環境)
    Enriched Enviroment は、1947 年 Donald OHebbにより提唱された概念です。脳損傷モデルのラット実験では、年齢問わず、多数刺激のある環境下(Enriched Enviroment)で問題解決に対するパフォーマンスが向上したとの結果が報告されています(Corinaetal. 2014)。上記の先行研究より、環境と神経可塑性は深いつながりがあり、背面開放座位ケア中の環境調整は、脳損傷後の脳神経系の回復を促す重要な要素であることが考えられます。

目次

はじめに

【知識編】

【実践編】

引用文献

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